19人殺した君と重い障がいのある私の対話

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重度の障がい者と19人を殺した植松聖被告が交わした4通の手紙と拘置所での対話。
八木さん「人間が“殺される権利”は無いんです」
植松被告「それは違う。僕は人間だと思っていません」「差別ではなく、区別です」
八木勝自さん(65)。脳性まひのある、重度の障がい者です。
八木さん「19人を殺害して。そんな短時間にやる心理が分からん」
2人の対話は、八木さんが植松被告に手紙を送ったことで始まります。
八木さん「拝啓 植松被告様へ」「私は首から下が自分の意思で動かせなくて、言語障害は多少ありますが、意思疎通のできる障がい者です」
半月ほどして、植松被告から手紙が。
植松被告「八木勝自様お手紙を拝読致しました」「手足が不自由な生活は不便で腹立たしいと思います」
手紙には植松被告が描いたイラストが添えられていました。
八木さん「(植松被告を)死刑にしてそういう問題をただそれだけで解決していいのかな?と」
障がい者施設での生活を経験した八木さんだから感じる疑問。
八木さん「私が一番軽度(の障がい)だった。朝食は40人を4人の職員で食べさせにゃいかん。それを押さえ…、(職員の)股に(顔を)挟んで」
劣悪にならざるを得ない環境。障がい者施設で働いていた植松被告も追い込まれたのではないか?
八木さん「異常な世界で、施設にあと2、3年いたら(自分も)死んでしまえと思ったかもしれない」
23歳の時八木さんは、周囲の反対を押し切って施設を飛び出し、“生きる喜び”に気づきました。
八木さん「障がい者をかわいそうとか不幸とか言うのは、健全者の一方的な押し付けであって、私たち障がい者から言えば、出来なくったっていいじゃないかと言いたいのです」
その“想い”を2通目の手紙に込めました。
八木さん「人は長く生きていれば誰だって1人や2人は殺したい人はいます。当たり前のことですが絶対に実行してはいけない。植松被告様、本当はどうなのか?実際に接見したいと思っています」
植松被告「お手紙を拝読いたしました。これから意識の無い重度障がい者は安楽死すべきと考えております」
最後に「接見に応じる」とありました。八木さんは富山から植松被告のいる横浜拘置支所へ。
植松被告「はじめまして」
八木さん「植松さんの手紙の文章も丁寧ですごくいい青年だと思った。だからなぜ?こんな事をしたのか?と疑問に思っていた」「人間が“殺される権利”は無いんです」
植松被告「それは違う。僕は人間だと思っていません」「八木さんとは意思疎通が取れているじゃないですか。理性、良心があることが人間だと(自分は)考えているので」「差別ではなく、区別です。差別は偏見に基づく。区別とは違う。意思疎通が取れない人は、有害だから」
八木さん「違う!」
植松被告「“意思疎通ができない人を守る”という立ち位置は改善すべきです」
八木さん「植松さんは死刑になると思うけど、私は生きていてほしいと思う」
植松被告「ありがとうございます」
30分間の接見。深くお辞儀をし、立ち去りました…
八木さん「予想の10倍から100倍ほど深刻だなと思った。(自分の言葉が)響いてほしいなと思う」