親友への想い乗せ 独学で分身ロボット開発

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日テレNEWS24

分身ロボット、OriHime(オリヒメ)。マイク・スピーカー・カメラを内蔵し、遠隔操作で自分の分身としてその場に存在することができます。開発者の吉藤オリィさん(30)。オリィ研究所を立ち上げ、思いつくままに発明し、手作業で作っています。
作ったきっかけは、ひきこもりだった少年時代に感じた強烈な孤独感から。その経験から“孤独をなくしたい”と、ただそれだけを、追い求め、独学で作り始めました。改良を重ねてきたオリヒメは、福祉の分野で急速に普及しています。そこには、一人の立役者、オリィ研究所の社員、番田雄太さん(27)がいました。
4歳で交通事故に遭い、20年間、病院生活に。首から下が動かず、人工呼吸器をつけて暮らしています。2人が出会ったのは4年前。孤独を知っている者同士、すぐに意気投合。人生で初めて出来た親友でした。番田さんは毎日サングラス姿のオリヒメで“出社”。吉藤さんの秘書兼広報として、自宅からアゴを使ってオリヒメを遠隔操作しています。
番田さん「独りの時間が多かった自分にとって、オリヒメでつながった出会いは多く、その可能性は無限大にあると思っています」
吉藤さんは新しいオリヒメの開発に取り組みます。目指すは、動き回れる人型の大きなオリヒメ。
吉藤さん「番田くんにまず自分の口に物を運んでほしいな。自分で好きに方向を変えたりとか」
新型オリヒメの開発をはじめて1年。番田さんの容体が急変、病院にかけつけました。しかし、意識はほとんどありませんでした。1時間以上…話しかけ続けました。
吉藤さん「番田くんがいなくなって私のスケジュールが大変だ」
番田さん「スタッフの…、会社の人はどれくらい?」
吉藤さん「今は12人くらい。番田くんを入れてな」
番田さん「私を入れて?」
吉藤さん「12人だよ」
これが2人の最後の会話。28年の番田さんの人生。
番田さんの母・幸子さん「ずっと孤独だったから、オリィさんに会ったのが一番大きいですね。自分で働いてお給料をもらうってことをできるなんて思わなかった」
ほとんどを病院で過ごしたが、最後の3年だけは、社会で、働きました…。
新型オリヒメの開発はストップしました。
吉藤さん「一番使わせたかった人がいなくなったので、何のために作っているんだろうみたいな」
しかし、忘れられない番田さんの言葉が。
番田さん「このままでは無駄に死んでしまう。こんな体だからこそ、せめて生きた証しを残したい」
吉藤さんは開発を再開し、失敗を繰り返すこと2年。実証実験をするため、ALS患者のもとへ。患者はベッドにいながら、眼球の動きだけでオリヒメを動かすことができました。
番田さんへの想いを乗せて作った新型オリヒメ。もう開発は、ストップしない。
※2018年8月、日本テレビで制作したものをリメイク